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インプラントにもメインテナンスが必要です。

メインテナンス

歯のメインテナンス

歯周病の場合

shutterstock_124465816.jpgメインテナンスとは歯周病を再発させず、健康な状態を維持していくための定期的な治療のことです。 治療が終了した後は、3~6ヶ月ごとの定期検診の受診をお勧めします。
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞(歯垢の蓄積)し、歯周病が再発します。
したがって、この細菌の停滞(歯垢の蓄積)を除去し続けることで歯周病の再発を予防することができ、お口の健康を維持することができます。

この表は、歯周病の手術を受けてまで治療した患者さんのメインテナンスを受けたか受けなかったかによるその後の変化を示しています。(クリックで拡大します)
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メインテナンスの重要性が理解できると思います。

インプラントの場合

IFOS411_xc_ForIntro.tif写真のキャプションを入力します。過去には否定された時代もありましたが、インプラント周囲にも歯周病と同じくインプラント周囲炎と呼ばれる、いわゆるインプラントの歯槽膿漏がおこります。
原因は多くの場合プラーク(歯垢)です。日本では、咬合力等も関与すると言われる場合も多いのですが、海外ではあまり咬合力の話しはいわれません。

2008年、European Federation of Periodontollogy(ヨーロッパ歯周病学会)のコンセンサスレポートによると、インプラント周囲炎についての罹患率(その病気にかかる確率)を、インプラント割合(インプラント1本1本見ていく)で12~43%、患者割合(患者さん1人1人で見ていく)で28~54%がインプラント周囲炎に罹患していると報告しています。ただしこれは歯周病専門医のクリニックのデータであり、一般の歯科医院のデータを混ぜると相当にインプラント周囲炎の患者さんの発生率が増えると予想されます。

別の報告で、インプラント治療を専門クリニックで行い、メインテナンスのみを一般歯科クリニックで行ったものでは、インプラント処置を受けた患者において、インプラント割合で24.8%に、患者割合で77.4%に、インプラント周囲炎の疑いがありました
これはただメインテナンスを行うのではなく、専門的な知識を持ち、トレーニングされたスタッフでないと予後は悪くなる可能性が高いという事を示していると考えられます。

最近ではこのインプラント周囲炎の話題が少しずつ世の中でも言われるようになってきました。これは今までインプラント周囲炎が無かったわけではないのです。
例えとして太古の昔には癌は無かったとされていますが、本当でしょうか?
おそらく癌を診断できなかった、検査法が無かったからに違いありません。インプラント周囲炎も同じで、現在はメインテナンスにおいてきちんと診断できます。だからこそ、このような報告がされるようになったと考えていいでしょう。

当院では歯周病治療の技術をインプラント治療にも応用し、患者さん自身での歯ブラシの行いにくそうな歯肉の状態を、インプラント2次手術の際に歯肉の移植等により改善して、患者さん自身でのプラークコントロールをしやすい状態に改善する等、このインプラント周囲炎の予防には治療中より徹底して心がけています。
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私はインプラント治療の指導を歯科医師に対して行う際、必ずこのような歯肉の移植等の処置をマスターする前にインプラント治療をするべきでない事を伝えております。
さらに、スタッフ教育も非常に重要で、歯科衛生士、歯科医師ともに十分なトレーニングを受けている事が必須であると言えます。